今日はテレビでよく聞く重症と重体の違いについてです。
実は全然違います。
1. 重症(じゅうしょう)
重症は、ケガや病気の程度が深刻であることを示しますが、命に直結する状態ではない場合も含まれます。医療的には、治療や管理が必要な症状があるものの、適切なケアによって回復が期待できる状態を指すことが多いです。例えば、骨折や大きな傷、内臓の損傷などが含まれます。
- 特徴
- 病態の重さを示すが、必ずしも生命の危機とは限らない。
- 入院や手術が必要な場合が多いが、適切な治療を受ければ回復の見込みがある。
2. 重体(じゅうたい)
重体は、生命の危機に直結している状態を意味します。すなわち、生命維持のために緊急の処置が必要で、患者の状態が予断を許さないことが多いです。ICUやCCU(集中治療室)での対応が求められることが多く、モニタリングや生命維持装置が必要なケースも含まれます。
- 特徴
- 命の危険がある状態で、予後が不明な場合が多い。
- 患者の状態が非常に不安定で、医療の介入が直ちに必要。
- 例:多発性外傷、重度の心筋梗塞、脳出血など。
3. 使い分けの具体例
例えば、交通事故に遭った患者がいた場合を考えてみます。
- 重症の患者は、骨折や内臓損傷があるものの、呼吸や循環の状態が安定しており、適切な治療を受ければ回復が期待される状態です。
- 一方で、重体の患者は、呼吸停止や心停止の危険があり、集中治療を要するような、生命の危機が非常に高い状態です。多臓器不全や頭蓋内出血などが伴うことがあります。
4. 臨床現場での対応の違い
- 重症患者の場合、一般的には緊急処置後、集中治療室ではなく、普通の病室で治療が行われることもあります。もちろん症状の重さによってはICUに入ることもありますが、生命維持装置が必要になることは少ないです。
- 重体患者は、生命維持に直結する処置が行われ、常にモニタリングが必要です。人工呼吸器や強心薬、透析などのサポートが行われ、病態が安定するまでの時間が非常に重要です。
5. まとめ
- 重症:症状は深刻だが、適切な治療で回復が見込まれる場合。
- 重体:生命に危機が及んでいる、または予断を許さない状態。
→この写真は参考資料ですが、ICUでは実際に手術室で行うような処置や簡単な手術などが日常的に行われます。機械に囲まれている、と言った光景はICUでは普通なのかな、と思います。でも機械が苦手、という人でも、ICU看護師は務まりますよ。
次回はまたエピソードをアップしたいなと思います。それではまた。